問診・検査では、インプラントの禁忌症の問題を含め患者様の健康状態をあれゆる角度から確認しました。
インプラント診断ではこれらの検査結果を多角的に捉え、インプラント適応の有無を判断し、インプラント治療が可能な場合は治療計画を立案します。
患者様がインプラント治療を希望される目的は、当然ですが手術を受けることではありません。
インプラント治療の先にある、よく噛める・見た目が良い・さらなる健康などへの期待だと思います。
当院では患者様の期待に応えられるよう、正確な診断を心がけています。
ご高齢の方は代謝機能が低下しているため治癒期間が若干長くなることがありますが、インプラント治療の可否の判断材料にはあまりなりません。
年齢よりも患者様の健康状態の方が大きなリスクファクターとなります。
疾患については様々な禁忌症があります。
糖尿病・骨粗鬆症・心臓疾患・高血圧症などがあり、インプラント治療の可否について十分検討する必要があります。
喫煙や重度の歯周病もインプラント治療のリスクファクターとなるため、治療を希望される患者様には詳しくご説明しています。
レントゲン写真からは口腔の解剖学的な状態や病変の有無などが確認できます。
また、インプラント体埋入部の顎骨の骨量や骨質を検討する上で重要な判断材料となります。
デンタル | インプラント体埋入部の骨質や隣接歯の確認などをおこないます。インプラント埋入後はインプラント体周囲の骨の変化を確認します。 |
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パノラマ | 顎関節・顎骨の解剖学的構造、顎骨内の病変の有無などを確認します。上顎 -上顎洞や鼻腔の状態 下顎 -下歯槽神経・下歯槽動脈・下歯槽静脈が走行する下顎管の確認 |
最終的なインプラント埋入計画はインプラントシミュレーションソフトによっておこないます。
CT撮影によって得られたDICOMデータを3D画像化することで、顎骨の状態を解剖学的に診ることができ、より安全なインプラント治療が可能となるためです。
歯科エックス線優良医は日本歯科放射線学会の一連の講習を受講し、試験に合格した歯科医師に発行される認定証です。
・パノラマエックス線写真による画像診断
・歯科用コーンビームCTの基礎と臨床応用
・インプラントの画像診断
など歯科医療にはレントゲン写真やCT映像からの診断能力も問われます。院長は日常の臨床だけでなく、講習会や学会などに積極的に参加し歯科医師としてのブラッシュアップに努めております。
インプラントには禁忌症があり、その禁忌症には絶対的禁忌症と相対的禁忌症があります。絶対的禁忌症は全身的または局所的状態からインプラント治療が適さないケースです。相対的禁忌症は口腔状態や健康状態が改善できればインプラント手術が可能となります。
重症の心臓病・先天性血液凝固因子欠乏症・白血病・腎透析患者などの疾患のある方にはインプラント治療は適しません。
インプラント治療のリスクは高くなりますが、状態によってはインプラント治療が可能なケースです。
しかし、多くの疾患には併発症の心配があるため、全身にかかわるリスク、インプラント治療のリスクをできる限り把握しておく必要があります。
相対的禁忌症としては、糖尿病・心臓疾患・高血圧症・骨粗鬆症などがあります。また、喫煙もここに分類できるかもしれません。
一部の疾患について簡単にご説明します。
該当される方はおわかりになるかと思いますが参考にご覧ください。
糖尿病に対する投薬内容、コントロール状態、合併症など、かかりつけ医への照会が必要となります。
インプラント体埋入手術の可否は、一般的な待期手術の基準値であるHbAlc6.5(NGSP値:国際標準値)以下が1つの基準であるとされています。
骨強度が低下する骨粗鬆症そのものが、まずはインプラント治療の局所的リスクファクターと言われています。日本口腔インプラント学会の「口腔インプラント治療指針2012」によると“骨粗鬆症はインプラント治療の成功率を低下させるという論文と、影響がないとする論文があり,現時点では明確な結論は出ていない”と報告されています。しかしながら、骨粗鬆症の治療薬として用いられているビスホスホネート系薬剤(BP製剤)には、抜歯などの歯科治療を契機とした顎骨壊死の発症が大きな問題となっていることも事実です。
そのため、BP製剤投与について充分確認し、インプラント治療の可否を判断する必要があります。
心臓疾患についても、かかりつけ医への照会が必要となります。
インプラント治療のリスクは、WHO(世界保健機関)による血圧の分類、NYHA(New York Heart Association)の心機能分類などにより判定できます。
高血圧症は40代以上に多い症状です。
高血圧は、血圧以外の肥満・高脂血症・糖尿病・インスリン抵抗性(糖尿病予備軍)などの危険因子が重なると心臓病に対する危険度が高まるとされています。
インプラント治療については血圧測定によってリスク判定をおこないます。
抗血栓療法には抗血小板療法・抗凝固療法・線溶療法があります。
抗血小板薬はアスピリン、抗凝固薬にはワルファリンカリウムなどがあり、凝固能が低下していると止血困難が予測されるため、かかりつけ医との連携が必要になります。
人工歯根であるインプラントにも歯周病と似たような症状を引き起こすインプラント周囲炎があります。
歯を失う方のほとんどが虫歯あるいは歯周病によることから、インプラントを長期的に維持するには口腔ケアおよびメインテナンスが重要です。
もちろん重度歯周病の場合には歯周病を先に改善する必要があります。
喫煙者のインプラント治療の成功率は、非喫煙者と比較して低いことが報告されています。
喫煙は歯肉の血行を阻害するため、
歯周病を悪化させたり、インプラント周囲炎やインプラント周囲の骨吸収を起こす可能性が高いため、そのリスクをきちんと伝えることが大切です。
健康のためにも、インプラント治療を機に禁煙をご提案いたします。