インプラント治療を可能にする骨造成術や骨移植術など骨を造る技術、骨生成を促す技術は年々進歩しています。
中でもPRP(多血小板血漿:組織成長因子)による骨再生治療は、患者様ご自身の血液より生成したPRPによって骨組織の再生を促す、再生医学に基づいた【体にやさしい骨再生技術】です。
ソケットリフト法や骨再生誘導法(GBR法)などと併用することで効果的な骨造成ができ、インプラント治療を可能にすることができます。
PRPは(Platelet Rieh Plasma)の略で、日本語で言うと「多血小板血漿」のことです。
ケガをした時に傷口をふさぎ止血する働きをする血小板(platelet)には、細胞の数を増加させたり、新しい血管をつくるなど様々な組織成長因子を含んでいることが知られています。
PRPはこれらの組織成長因子を有効に働かせるために血小板を分離・濃縮して生成する【成長因子の塊】のようなものです。
近年では、筋肉や靭帯のケガを回復する整形外科、肌を再生する美容皮膚科・美容外科などでもPRPが使われています。
PRPに含まれる主な組織成長因子
PRPは凝固反応する時に、PDGF・TGD‐β・VEGF・EGFなど様々な組織成長因子を放出します。また、PRPが凝固反応を起こして形成されるフィブリン網(かさぶたのようなもの)が遊走してきた骨芽細胞や線維芽細胞の足場となり、創傷治癒が促進されると考えられています。
PDGF | 細胞増殖の促進、血管の新生など |
---|---|
TGF-β | 細胞サイクルを刺激し、細胞の分化や増殖、遊走を調節 |
VEGF | 局所の血管新生と炎症をコントロール |
EGF | 上皮細胞の成長を促進し、創傷部表面を被覆 |
PRPの生成は院内での患者様の血液採取から始まります。
そのため、骨造成手術の当日あるいはインプラント手術当日におこないます。
処置費用 |
PRP生成処置 1回30、000円 × 手術回数
※当院は「PRP(自家多血小板血漿)を用いた口腔内組織の再生医療」において、再生医療等提供計画を国(厚生労働省)に届出した医療機関(再生医療等提供機関)です。 |
---|---|
メリット |
PRPを骨造成に用いると骨造成効果が高まる
PRPに含まれる組織成長因子が、顎骨や歯周組織の早期再生・回復を促し、また止血や痛み軽減、感染を予防します。自家組織なので拒絶反応もないとされています。 顎骨が足りない(不十分)方でもインプラント体の埋入が可能
他院でインプラント手術は不可能と言われた方でも、診断によってはインプラント手術が可能になるかもしれません。 長期的なインプラント体安定の期待度が大きい
PRPによる顎骨再生が期待通りに進むことでインプラント体の安定度合いが高まります。 PRPは「再生医療を推進するための法律」のもと実施する再生医療
インプラント治療におけるPRPは顎骨の再生を図るものですが、口腔内組織の再生医療として効果を期待できると判断した場合は歯科口腔外科でも使用することがあります。 |
デメリット |
自費診療のため処置費用が高額
治療期間が長くなるインプラント治療をするにあたって骨再生期間が3~6カ月必要となるので治療期間が長くなってしまいます。 |
リスク 副作用 |
手術時に痛みや違和感がある(麻酔で軽減)
手術後に腫れや痛みを伴う(鎮痛剤等の処方)
PRP(多血小板血漿)を用いた骨再生の効果について多くのメリットが期待されるPRPですが、これらの効果は100%保証されるものではありません。患者様によって効果の程も異なります。 しかし、これまでの臨床経験から利点の方が大きいと当院は考えております。 |