上は奥歯が8歯、下は奥歯を4歯それぞれ喪失し、前歯のみの咬み合わせとなったため「出っ歯」に見えるのが気になることと、奥歯で物が咬めないため前歯に咬み合わせが集中して、これから先、前歯がどんどん開いていくのではないかと心配されて来院されました。
残っている上の前歯も動揺が著しかったため、ご本人と相談の上、段階的にインプラント埋入を進めていくこととなりました。
上の両側の第一大臼歯(6)はソケットリフト(骨造成)をおこない、後に左側の第一大臼歯(6)のインプラント体が脱離し、また右側の第一大臼歯(6)のインプラント体も骨幅が薄く、強度的に問題があったため、追加で両側の第二大臼歯(7)の位置に傾斜埋入インプラントをおこないました。
(なお、右側の傾斜埋入インプラントは第一大臼歯のインプラント体脱落に備え、代用できるようにsleepingさせています。)
最終的に上が10本・下が2本のインプラント治療によって咬み合わせが良くなり、上の前の歯並びも「出っ歯」でなくなったため、患者様はとても満足されました。
治療期間 | 3回に分けて治療:都合18ヶ月半 |
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治療内容 |
インプラント手術:12本
治療内容内訳:上顎10本、下顎2本 初診時問診、レントゲン撮影、CT撮影、ソケットリフトによる骨造成手術(1本) インプラント体埋入手術12本(うち2本は傾斜埋入)、上部構造物(人工歯) |
総治療費 | 315、000円 |
メリット |
歯を残せる可能性が高まる (ブリッジや入れ歯と異なり両側の歯を傷つけない)
咀嚼能力を維持・向上する効果 (よく噛めるようになる)
術後のメリット;インプラント治療による咬合再構成で出っ歯が改善された メインテナンスにきちんと通われており健全な口腔環境を維持できている |
デメリット |
自費診療のため処置費用が高額
インプラント治療を適用できない場合があります(糖尿病、骨粗しょう症など全身疾患のある方) |
リスク 副作用 |
手術時の痛みや違和感(麻酔で軽減)
手術後に腫れや痛みを伴う(抗生物質、消炎鎮痛剤等の処方)
インプラント埋入手術の後、顎骨とインプラントを定着させるのに、一定期間経過観察をしますが、人により、稀ではありますが、定着しない場合があります
治療完了後、インプラントを良好に保つために定期メインテナンスが必要になります
ご自身の口腔ケア、定期メンテナンスを怠ると、
歯ぎしりや食いしばりなど無理な力がインプラント体にかかりすぎると支えている周囲の骨にダメージを与えることがあります(歯ぎしり防止マウスガードで対応可)
天然歯の歯周病に似た症状のインプラント周囲炎にかかる可能性があります。 |
ご覧いただいたように、インプラントには残存歯を保護する観点からすると絶大な効果があります。
咬み合わせをつくるにあたって、ブリッジや部分入れ歯あるいは総入れ歯での対応も悪くないと思いますが、欠損している部分に人工歯根を埋入し、咬み合わせを負担させることは、生涯に渡って歯を残し咬み合わせを保持する意味合いからすると、非常に有効であると私は考えています。
インプラント治療は残っている骨をいかに活用して人工の歯をつくるかにかかっています。
骨が不足している場合は、水平的に骨を拡げたり、垂直的に骨造成したりと、あらゆる方法でインプラント治療がおこなわれていますが、基本は患者様個々の咬み合わせがいかにスムーズになるように仕上げていくかがポイントです。